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スマホでのアイトラッキング(視線計測)の精度の検証

スマートフォンでのアイトラッキングの精度アイトラッキングの精度実際にアイトラッキングを実施したり、結果をご覧になったことのある方はお分かりかと思いますが、アイトラッカーの精度は完璧ではありません。被験者さんの眼の状態(コンタクトレンズの有無、まつげの長さなど)によって、精度が変わってきます。

我が社で使用する『Tobii Pro X3-120』も、精度は0.4度となり、対象のディスプレイから45cmの距離まで近づいても、少なくとも0.3cm程度はズレてしまう計算になります。実世界での表示サイズが小さくなるスマートフォンでは、PCのディスプレイに比べ相対的に誤差が大きくなります。

アイトラッキングの精度は、被験者さんによって異なってきます。我が社の中で数人にスマートフォンのトラッキングをしてもらったところ、トラッキングの精度に様々な傾向が現れたので、ピックアップしてご紹介します。

精度確認の方法

1 下記の注視点確認用画像をスマートフォンに表示し、白い点を順番に見る
注視点確認用画像
2 NHN テコラスの公式サイトを、決まった順番に閲覧する

下記の画像のように『精度(位置がズレる)』と『正確度(注視点がブレる)』という言葉を使い分けていきます。

tobii_accuracy

被験者1 私(30代男性・近視用眼鏡)

まずは私です。

↓上半分は少し正確度が低く感じられますが、下半分はかなりの正確度と精度です。

精度チェック_ゲイズプロット_清水

↓ロゴ、右上メニュー展開アイコン、メインバナー内のテキストの順に見ました。
概ね、実際に見たところそのままといった印象です。

ゲイズプロット清水_01

↓ニュースリリースのテキストを2日分。
実際の位置より、少し上を見ていることになっています。

ゲイズプロット清水_02

↓サービス名、写真、サービスロゴ、説明テキスト。
同じく少し上方向に位置がズレています。

ゲイズプロット清水_03 ゲイズプロット清水_04 ゲイズプロット清水_05

↓ページ最上部に戻るボタン。
ピッタリです。これも、かなり意識して真ん中を見るようにしました。

ゲイズプロット清水_06

動画で見るとこんな感じです。

説明がなくても、何を見ているのかよく分かると思います。

被験者2 K氏(40代男性・近視用眼鏡)

続いては、特に正確度が低くなってしまった例です。目がかなり疲れ気味とのことでした。

↓画面の位置に対して左下に2センチ強ズレてしまっていて、正確度が低いと言えます。一方で丸(注視点)のブレが少なく、精度は高そうです。

見る場所によって位置のズレ方が異なるわけではないので、見てもらった場所さえ分かっていれば、頭の中で補正できそうではあります。

精度チェック_ゲイズプロット_K

↓ロゴ、メインバナー内のテキストを見てもらいました。先程と同じく左下にズレています。

ゲイズプロットK_01

↓ニュースリリースの日付とテキストを3日分見てもらいました。左下にズレていて、また綺麗な横移動が出来ていません。

ゲイズプロットK_02

↓サービス名、写真、サービスロゴ、説明テキスト。やはり左下にズレていますが、対象の配置に特徴があるので一応どこを見たかは分かりそうです。

ゲイズプロットK_03 ゲイズプロットK_04 ゲイズプロットK_05

↓ページ最上部に戻るボタン。画面外を見ていることになっています。

ゲイズプロットK_06

全体的に、ゆっくり見てもらったので丸(注視点)が多くなっています。

動画で見るとこんな感じです。

説明がなければ、実際に見た場所を正確に把握するのは難しそうです。

被験者3 T氏(20代女性・ソフトレンズ)

こちらは、先のK氏と比較すると、精度は低く正確度は高めの少ない例です。

↓画面内も外も真っ黒で分かりにくいのですが、丸(注視点)が画面内に収まっています。

が、上半分を見ていた時に少しクラっとしたとのことで、注視点と注視点を繋ぐ線があまり綺麗になっていません(いざ小さな点をじっと見つめようとすると、視点が動いてしまいがちなのです)。

精度チェック_ゲイズプロット_T

↓ロゴ、メインバナー内のテキストを見てもらいました。若干精度が低そうに見えますが、正確度は高く概ねどこを見ているかは判断できます。

ゲイズプロットT_01

↓ニュースリリースの日付とテキストを3日分見てもらいました。上の2件を見ているときはバラついていますが、3件目は高い正確度と精度です。

ゲイズプロットT_02

↓サービス名、写真、サービスロゴ、説明テキストを見てもらいました。ほとんど問題ないレベルです。

ゲイズプロットT_03 ゲイズプロットT_04 ゲイズプロットT_05

↓ページ最上部に戻るボタン。
バッチリです。

ゲイズプロットT_06

動画で見るとこんな感じです。

正確度は高めなので、視点の動きと表示内容でどこを見ているのかはおおよそ把握できそうです。

その他、注視点確認用画像だけ見てもらった方の例

↓精度が低くバラつきは大きいですが、画面内には収まっており正確度は高そうです。

精度チェック_ゲイズプロット_M 精度チェック_ゲイズプロット_U

対面式ユーザテストの効果を増幅する手段としてのアイトラッキング

上記のように、ウェブサイトの使い勝手の調査においては、精度と正確度が低い場合の無音のアイトラッキング動画、また出力されたゲイズプロット画像だけ見ても、そこから読み取れる情報は大して多くありません。

そのため、下記のような項目を追加することで、アイトラッキングの結果から読み取れる情報が増えていきます。
・テスト時のタスクを明確にする
・思っていることを話してもらい録音する
・印象や困ったことなどを事後インタビューする

この3つは、いわるゆ対面式ユーザテストと呼ばれる手法です。

元々対面式ユーザテストは、目の前に被験者がいるので深い洞察が得られることが特徴ですが、この時にアイトラッキングを併用すればリアルタイムに視点を確認することができるため、さらに深い洞察が得られます。

アイトラッキングによる増幅
└アイトラッキングによるユーザテストの効果の増幅

「あのバナーを見てもらえれば解決…あれっ、あんなに目立ってるのに見てすらいない!」とか、「あの情報を何度も確認してるのは何故だろう…」みたいな事があれば、事後ヒヤリングで深掘りすることができます。

被験者さんの画面には今見ている場所の視点は表示されませんが、アイトラッカーを接続しているPCからはリアルタイムに視点が表示されるので、関係者も同時にそれを確認することができます。また、音声とともに録画した動画を後ほど関係者感で共有すれば、視線の分からない対面式ユーザテストよりも共有できる情報量が増やせることが想像できますね。

アイトラッキングでしか分からないこと

また、アイトラッキングだけを活用しても、分かることは沢山あります。

下記サイトで紹介されている事例のように、バナー内のモデルの視線が、重要な要素を見てもらうための誘導に使えることなどは、アイトラッキングを行わなければ分からないことの一つです。

必見!コンバージョン率アップに役立つ7つのアイトラッキング事例 - リッチマーケティング

動画のアイトラッキングもできます。動画内に現れるメッセージやアイコンなどに、意図通り視点が配られているかを確認することが可能です。(著作権を侵害してしまうのでここではご紹介できませんが…)

数日後に動画のことを再ヒヤリングして、内容を覚えていなかった場所が、見ていた場所なのか見ることがなかった場所なのか、といったことも確認できます。

その他、DMや郵送物への同梱チラシなど、1ページずつであればどんな順番で目線が移動するかチェックすることが出来ます。21インチ16:9の液晶ディスプレイに収まる範囲の画像やPDFデータがあれば、弊社でも簡易的にチェックすることが可能です。

これだけ目立たせたら見るだろう…そう思っていたのに見てくれない事もあるという事実を明らかにするのが、アイトラッキングです。

デザイナーさんなどUIの設計をを行う方にとっては恐ろしい話かもしれませんが、これから開発するサービスであれば、早い段階で案を作ってアイトラッキングを行い、その結果を踏まえて改善していけば良いのです。

おまけ

こちらの動画の中で、白いユニフォームの人がボールをパスした回数を数えてください。案外、数えにくいですよ。

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