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チャットボット導入時に検討すべきことは?実用系チャットボットをユーザーテスト(後編:ライフネット生命)

吹き出しチャットボットをユーザーテストする企画、後編です。前編のNAVITIMEもご覧ください。

後編では、ライフネット生命のチャットボットをユーザーテストしてみます。平成29年度カスタマーサポート表彰制度「奨励賞」を受賞しているなど、高評価を得ているようです。

 

ライフネット生命のチャットボット

ライフネット生命のチャットボットは、『保険を検討中のお客さま向けに、LINEおよびFacebook Messengerでの、チャットボットによる自動応答を活用した保険診断および保険料見積りサービス』を提供しています(ライフネット生命のニュースリリースより)。

特に、窓口へ足を運ぶのが難しかったり、対面での相談に積極的でない方からの評価を得ているようです。

また、最終的には有人対応まで行えるような仕組みとなっており、チャッボットを効果的に活用している様子が伺えます。

では実際に、どのような事を、どのように相談できるのでしょうか?

ライフネット生命

 

調査概要

  • 被験者
    34歳女性、35歳男性、31歳女性
  • 募集条件
    LINEを使っている方で、保険の見直しを検討中、もしくは最近見直しをした方
    ※ライフネット生命のLINE公式アカウントの利用経験が無い方
  • タスク
    1. 事前ヒヤリング(見直そうと思っている理由、現在の情報収集状況など)
    2. 実際に相談してみる

 

事前ヒヤリング

実際に保険の見直しを考えている今現在、もしくは過去に見直しをした際に、どのように情報収集したかを聞いてみました。3人のうち2人は対面での相談を利用しており、1人は資料請求までとなっています。

利用前の印象としては、概ね期待値は高めではありますが、LINEで手軽に相談できるレベルなのか疑問を感じる場合もあるようです。

34歳女性 35歳男性 31歳女性
 保険見直しの理由 ◯今年春に見直した。

◯自身が倒れた場合、保険が出ない状態だった。一定の貯金額を達成できたので、貯蓄を保険に回そうと思った

◯新しい保険のポスティングがあり、考え直した。加入には至っていないが、いずれ見直しても良いと考えた。

◯結婚などによるライフステージの変化、車の購入、会社員からフリーランスへの転身など。

◯変化があるたびに検討している。

◯怪我をして手術・入院した際に見直そうと思った。
情報収集の仕方  ◯旦那さんの会社繋がりの保険屋さんへ相談。

◯今の保険の強みや弱みの整理、要望を伝え、対面でプラン提案してもらった。

◯知り合いの保険屋さんへの相談。

◯ほけんの窓口の利用。

ネットの記事での情報収集。ただし情報不足であることが多い

◯保険を比較検討できるサイトを見た上で資料請求をした。まだ申込みに至っていない。
友だち追加と利用前の印象  ◯見積もりが出ることに興味。

◯文字が見切れてしまっている。

 ◯使い慣れたLINEを活用できるという仕組みは魅力

◯窓口では1回あたり2時間もかかる重い内容なので、LINEで済ませられるのか不安。

◯何をどう入力したら良いか分からない。

◯厄年に関するコンテンツに興味、まもなく厄年なので保険の見直しの時期かなと感じた。

コンテンツが見やすかったので、診断も見やすく表示されるのではと期待。

 

実際に触ってみる

実際に触ってもらった結果です。

34歳女性 35歳男性 31歳女性
 使ってみて…良いところ ◯個人情報入力の警告が最初にあり安心。

◯案内の詳細さに驚き(保険期間や保険料)。

◯ちょっとした質問がLINEですぐに返答を貰える。

◯質問に対し複数の回答があり、必要な情報が得られた。

◯プランナーとLINE上で相談できるのかは疑問だが、できるなら良い。

◯プランや費用が見られるのは良い。◯読み物的に気軽に使うのであれば面白い。 ◯簡単な質問項目に好印象。
使ってみて…気になるところ(内容) ◯『LINEで相談』が自動対応なのか疑問。

◯『ほけん相談』で、プランナー対応までは不要という場合にどうすれば良いのか?

保障期間を延長した時の料金が調べられない

◯「かぞくへの保険 保証延長」を入力するが分からず、電話が必要かと感じる。

 ◯『ほけん相談』からチャットを入力したら意図せずプランナー対応になり、焦ってしまった。

◯このくらいの内容ならネットで拾えるのでは?

◯LINE上では決められない。

◯年齢と性別だけでどんどん情報が出てくるため内容に不安。

◯『ほけん診断』で最初に『ご自身が亡くなったとき』の質問が来るのがネガティブ。

◯『ほけん診断』でプランが4つも出てきたが複数入らないといけないのか?

◯『医療保険の中のガン治療等のオプション』という他社の保険のイメージだが、ガン保険で独立なのか?

◯『ほけん診断』の質問で『手厚く』を選んだ項目が、詳細では必要最低限になっていることにネガティブ。

詳細確認している間に手続き終了となり、保険の検討には時間が短すぎるためネガティブ。

使ってみて…気になるところ(見た目) ◯文字が見切れてしまっている箇所がある

◯チャットで「保証期間の延長」と入れるが、チャットが複数返ってきてしまい混乱(1つ目の回答の場所が分かりにくくなる)。

◯テンポの速さに躊躇(内容に追いつけず)。 ◯チャットがキーボードで隠れてしまう。
感想 保険を探す入り口として利用できる。 本当に見直しをする際には利用したいと思えない。 ライフネット生命を知るきっかけとしては良いが、利用したいと思わない。

 

今回の調査では、返答の早さや利用方法の簡単さ、気軽さに対して好印象だったようです。

一方で実際に保険を検討しようとした際には、下記のような様々な課題に直面してしまいました。本来LINE上で相談できるレベルに対し、被験者さんの期待値が上回ってしまったのではないかと感じます。

  • 調べられない事がある
    34歳女性は家族への保障の延長をしたく情報収集を頑張りましたが、結局分からずじまいでした。
    ライフネット生命 チャットボット 知りたい情報が調べられない
    └家族への保障の延長ができるか知りたいのに正しい回答が得られない
  • どこからプランナー(対人)対応なのか理解しにくい
    35歳男性は意図せずプランナー対応の流れになってしまいましたし、34歳女性はプランナー対応にならないよう慎重に操作する必要がありました。
    ライフネット生命 チャットボット プランナー対応はどこから?
    └意図せずプランナー=対人対応になってしまい焦る(事前に注意書きはあったが、目に入っていない)
  • 診断で選択した内容と、提案プランの内容がずれている
    31歳女性は、『ほけん診断』にて『手厚く』を選択した項目が、提案プランでは『必要最低限』になってしまっており、ネガティブな印象を抱いてしまいました。
    ライフネット生命 チャットボット 『手厚く』を選んだのに…
    └診断時に選択した内容と、プランの詳細ページの内容が一致しておらずネガティブ

調査動画

調査した動画のうち、LINE公式アカウントの友だち追加が完了したところからのものを下記にアップしましたのでぜひ音声とともにご覧ください。


└34歳女性(18分42秒)


└35歳男性(11分33秒)


└31歳女性(29分34秒)

 

ライフネット生命のまとめ

今回の調査では、あまり積極的に利用したくないという印象を持たれてしまいました。積極的に利用したくないという2名は、自動対応にもっとレベルの高い提案を期待していた可能性があります。

一方で「保険を探す入り口として利用できる(34歳女性)」「ライフネット生命を知るきっかけとしては良い(31歳女性)」「読み物的に気軽に使うのであれば面白い(35歳男性)」のように、全員から同様のポジティブな意見も得られました。そういう意味では、

恐らくライフネット生命のLINE公式アカウントは、機械対応で保険プランにどんな種類のものがあるのか簡単に知ってもらい、もう少し詳細を知りたい場合に対人対応でチャットでの質問を受け付けるような使い方が理想ではないかと思います。LINE公式アカウントは、ライフネット生命を知ってもらうためのマーケティングツール的な立ち位置に見えます。

利用者が満足しているかどうかは別として、狙い通りに機能しているのではないでしょうか。

 

今回の調査まとめ

前編のNAVITIME、後編のライフネット生命、両方のLINE公式アカウントの調査から、チャットボット導入の際に留意したい点として以下のような内容が見えてきたと思います。

 

機能を特化し、どこまでの事が出来るか明示する

NAVITIMEは、路線検索の条件指定が出来ないのに、それを利用したいケースが多かったこと。

ライフネット生命は、保険の詳細を知ろうとすると、その内容に違和感を覚えさせてしまったこと。

チャットボットを『何でもこなせる優秀なオペレーター』として機能させるのはまだ現実的ではないのでしょう。そこで、特に問い合わせの多い事や、この障壁さえクリアできればコンバージョン率が上がるという事に対し、ピンポイントで目的を絞り導入すれば、利用者の満足度を高めやすいのではないでしょうか。また、事前にチャットボットで何が出来るのかを利用者に誤解させない事がとても重要だと思います。

 

提供する媒体が持つメリットを活かす

今回はLINE公式アカウントで提供されるチャットボットを調査しました。LINEの月間アクティブユーザー数は7,000万人以上とされ、スマホのアプリが非常に多くの端末にインストールされているものと思われます。

NAVITIMEの場合、アプリはスマホが重くなるという理由でインストールせずウェブから利用するという被験者さんが居ました。今回の場合、LINEがウェブよりスピードの早いNAVITIMEとの接点として映っていました。

今回のライフネット生命のチャットでは、同時に4つのチャットが返信されてきてしまい、チャット画面を上へスクロールしなくてはなりませんでした。

チャットボットを使ってもらいたい人が、普段どのようにLINEを見ているのか調査した上で、LINEのどんな点を活かすことが出来るのか、もしくはFacebook Messengerやウェブ上のチャットサービスが良いのか、しっかり吟味するのが良いでしょう。

 

ユーザーをしっかり調査する

上記を実現するために、例えば乗換案内のチャットボットを作るのであれば、対象となるエリアの様々な人に対し、他社サービスの利用者も含めた普段の利用状況を深く観察してみましょう。

 

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